ライトミステリー並みに読みやすいが、純文学の香り漂う不思議な作品。
『夜のピクニック』で「本屋大賞」を授賞し読者の支持が大きい作者の才能を表わした作品といえよう。
偉大な作家、時子の死んだ晩に何が起きたのか?作中の遺族たちや読者は疑問を抱きつつ終盤に進む。
なんだ結局は何も起こらなかったのか、と思った終盤に意外な結末が待っている。
とにかく複雑に張られた伏線があるのだが、そう思って読むと疲れるのでお勧めしない。
作中の大御所作家、時子はなんとなく有吉佐和子を思わせるのだが、おそらく創作だろう。
最初から最後まで女性しか登場せず、いかにも「女流小説」風なのが少し残念だ。
なお、この小説は映画化されている。
地味な内容で話題にならなかったが、かなり忠実な映像化であり、出来が良かったと聞いている。
配役が適切なため、映画を観て内容に納得できたという声もあった。
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[あらすじ]
5人の女が今は亡き作家、重松時子の住んでいた通称うぐいす館に集まってくる。時子の親戚筋で純文学で着実な歩みを見せるつかさ、同じく少女小説から出発して進化する尚美、叩き上げのノンフィクション作家の絵里子、プロではないが一流の才能を感じさせる静子、そして時子の才能を見出し一流に引き上げた編集者のえい子だ。
4年前に時子はこの家で毒を飲んで死んだ。
結局遺書が発見されて彼女の死は自殺とされたが、その場に居合わせたのもこの5人だった。
それ以来、故人を偲ぶために毎年2月の木曜日に集まっているのだ。
ところが今年に限って、ユリの花束が届けられ、それはうぐいす館の花瓶にぴったりとあった。
しかも、「皆様の犯罪を忘れないため、この花束を捧げる」とあった。
この家に詳しく、しかも時子の死が殺人だと思ってる人物からのようだ。
本当に彼女は殺されたのか?
晩年の時子の作品の質が著しく低下していたことと関係があるのか?
ラベル:ミステリー小説






