結果にかかわらず、美しい試合になって欲しいものだ。
この2チーム、かつての支配者と植民地の関係であったことはあまり話題にならない。
しかし“圧制者からの解放を目指す”オランダ側から描いた芸術作品は少なくない。
ベートーヴェン作曲の劇音楽『エグモント』もその一つで、現在では序曲のみ頻繁に演奏される。
この音楽は独立を目指して戦った若きフランドル公エグモントの悲劇的な生涯を描いたもの。
ベートーヴェンの音楽は相も変わらず独りよがりで、前半の沈鬱さから後半やけくそのように盛り上がる。
ある意味彼らしさの出た代表作ともいえる
ベートーヴェンは正式な姓を 'van Beethoven' といい、先祖はオランダ系という説がある。そこで、祖先の思いを自らの芸術衝動にぶつけてこのような音楽を描いたのだろうと思いきや、本人はまったく気乗りせず、金のために引き受けた仕事だというから分からない。
作曲家がパトロンなしで成立しなかった時代の遺産である。
この序曲はジョージ・セルの振ったチャイコフスキー第4交響曲の穴埋めに入っている。
オーケストラはウィーンフィルだが、曲が曲だけに、誰がやってもこんなもん?という感じ。
それよりも特筆すべきはメインのチャイコフスキーの演奏の素晴らしさだ。
オーケストラが手中のクリーブランドでなくロンドン交響楽団で、響きがいつもより解放的だ。
それでいて指揮者のコントロールが行き届いている。
セルこそは、まさに偉大な指揮者である。
ラベル:音楽